2009年2月15日日曜日

唐芋ロンド

先月に続き、2回目の参加。今回のテーマは、「芋焼酎誕生秘話」。鹿児島大学で焼酎学の講座を鮫島教授。焼酎の歴史を中心とした講演。
 ①サツマイモは、酒に適しない作物である。
  ・収穫の季節性
  ・周年供給が困難
 つまり、作れる季節が限られているということである。
  ・でん粉含量が低い(米75%、サツマイモ25%)
  ・蒸すと甘くなる(雑菌がつきやすい→腐りやすい)
  ・もろみの粘性が高い(サツマイモが多くの繊維質を含んでいる)
酒を造るには、原料に麹を入れることで、でん粉を分解し、分解されたでん粉を酵母を使って、アルコール発酵させる必要がある。この発酵の温度・期間が酒によって違う。清酒・ビールなどは、低温・長期間発酵させるし、反対にウィスキーは、高温・短期間(2~3日)発酵させる。このことで、もろみの腐敗を防ぐのである。しかし、なんと、原料が腐りやすいにもかかわらず、焼酎は、「高温・長期間」発酵で作られる。一番腐りやすい製法のような気がするが、その腐敗を防ぐのが、焼酎に使われる麹ある。
もともと泡盛に使われていた「黒麹」を使うことで、この腐敗の問題を克服した。なぜなら、この黒麹は、
一次もろみ生成過程で、クエン酸を生成するのである。クエン酸は、梅干しやレモンの酸味の主原料であり、強い殺菌効果を示す。この酸を使うことで腐敗を防いでいる。それに、焼酎用の「耐熱性・耐酸性」を持つ、焼酎酵母を用いることで、発酵させることで「高温・長期発酵」を可能にした。この製造法が確立したのが明治41年である。その後、大正7年、河内源一郎氏が、黒麹の中に白麹を発見。培養に成功した。大正8年には、それまで使われていた黄麹を使った焼酎製造は姿を消したという。
 ②黒麹と白麹は、基本的に色以外の違いはない。
 全く同じ条件だと、黒麹を使った焼酎の方がサツマイモ独特の臭いが強くなるらしいが、もともと白麹が黒麹から生まれたものなので、それほどの違いはないらしい。つい最近までは、白麹を使っていることが多かったのは、製造過程で、黒麹から発する黒の胞子が作業に支障を来したためである。このごろ「黒麹」仕込みを売りにした焼酎のコマーシャルが多いが、これは、仕込み過程のオートメーションかが進み、人が直接作業しなくても済むようになったからとのこと。後は、「黒」の持つイメージの良さから
「黒麹」ブームがあるらしい。
 ③焼酎ブーム→焼酎の品質向上から
 ・米麹製造技術向上から、漬け物臭さが無くなった。
 ・さつまいもの品種・品質の向上(コガネセンガンを用いる。)で、芋の傷み臭が無くなった。
 ・茶色瓶につめることで、焼酎が日光にさらされることでもたらされる油臭(日光臭)が無くなった。
 ・昭和53年に、焼酎が空気に触れてできる酸化臭・にごりのメカニズムが解明され、対策がなされるようになった。
 焼酎には、まだまだ可能性が秘められていることを実感した講座だった。

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