2009年2月15日日曜日

読んだ本(天皇誕生)

これも、「週間ブックレビュー」で紹介された本。「日本書紀」の記述について、初代神武~27代継体
までの大王(正式にはこのころ「天皇」という称号は使われていなかった。)についてその実在性を検討したもの。著者は、初代~26代武烈までの大王については、日本書紀に記述されているような大王は存在していないと結論づけている。ほぼ全体が当時の政権(天武天皇)に都合よく作られた歴史物語であると言っていい。それも、オリジナルではなく、中国の歴史書等からの引用した部分が多々見られる
のである。以前、隼人文化研究会で、古代隼人の存在について、「日本書紀に記されているような存在としての「隼人」族なるものは存在せず、それは、中国の文献から引用して作り上げた物語のキャラクターでしかない。」という報告があったが、この本でもそれと同じような結論が出されている。ただ、隼人族なるものが全く架空のものではなく、当時の南九州にモデルとなった部族集団があったということも言われているのと同じように、初代から26代の大王の中には、中国の文献に出てくるものもおり、日本書紀のモデルとなった王は、いたことは確かなようである。
 結局この「日本書紀」は、当時の政権が、日本という国(国名に「日本」という言葉を正式に使うことになったのは、701年大宝律令からである。また、前述したとおり、その「日本」を治める最高権力者を「天皇」と正式に呼び始めたのも、当時の「天武天皇」からである。)は、大唐帝国に匹敵するような国家であることを示すために作り上げた「歴史書」だったのである。

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