代表句
①「花衣ぬぐやまつわる紐いろいろ」花見の時の衣装を脱いだ後、まとわりついていたいろいろな紐が自分の周りにおちている。完全な写実句であるが、黛氏によれば、表意としての風景の美しさもさることながら、裏意として自分の置かれている状況(自由に俳句を作りたい自分の様々なしがらみをまとわりつく紐にたとえている)をも見事に表現しているという意味でこの句を絶賛している。
②「谺して山ほととぎすほしいまゝ」(こだまして)北九州に住んでいた久女は、作句のため、よく英彦山
に登ったという。山に谺するほととぎすの声を自分だけのものにできている。という表意としてのスケールの大きさ。そして、裏意として、自由にほしいままに作句をしたい。という彼女の願いが表現されているという。ほととぎすは、高浜虚子主催の俳句雑誌「ホトトギス」にかけているということだった。
このように久女の句は、完全な写実句であり、その世界も美しさスケールの大きさという点では申し分ない。しかし、それだけでなく、作者の作句時の心情も見事に表現されている点ですばらしいのである。
心情を風景に昇華させて表現できることである。それを久女の俳句から学んだという。
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